【健康】#9 妻が糖尿になりまして
#9 妻が糖尿になりまして
妻。突然たおれる
妻が「糖尿病」という事実に前向きになりはじめた、歩き始めた矢先の出来事です。
いつもの何気ない朝。
子供達は登校し、私もそろそろ出なければいけないので、二階で着替えをしていた時、一階からかすかな声がしました。
「た……す……け……」
何事かと下りていくと、妻は、座り込んでいます。
「どうした?」
妻の顔を見ると、青ざめた顔にも関わらず、大量の汗。それなのに手足は震えています。
え~!さっきまで普通だったじゃん! 何?! 何?! 何?!
私はパニックです。8年前の血の惨劇がフラッシュバック!
「めまいが……。気持ち悪い。もうだめ。」
そのまま妻は床にたれ込み、全く動けない状態です。
「き、きゅう、きゅう、救急車だな」
私は急いで電話をとった時、はっ!としました。
これってもしかしてあれか!
この症状は、「低血糖症」かもしれない!
私は、妻が病院から配られた「糖尿病のこころえ」の中に、急激に血糖値が下がると低血糖になると書いてかった事を思い出しました。
そう言えば、昨日の昼にママ友とランチで、普通に食べてしまったので、帳尻あわせに夕食は全く食べていなかった事を思い出しました。そして、今日も朝も食べていません。
血糖値が下がりすぎたんだ!
私は、急いでぶとう糖の入った子供用の清涼飲料を少しずつ飲ませました。
すると、10分くらいで症状はおさまったのです。
妻も冷や汗、私はパニックで大汗です。放心状態で二人は言いました。
「よかった~ 死ぬかとおもった~」
低血糖とは
低血糖とは、血糖値が正常範囲以下にまで下がってしまった状態の事をいいます。
糖尿病の人がこの状態になると、冷や汗、動悸、手足のしびれ、酷い場合は、けいれんや意識障害もおこしてしまします。
原因
① 食事量が少ない。食事の遅れ
② 運動量が多すぎる。空腹時に激しい運動をする
③ インスリン注射が不適切
等が原因であげられます。妻は、①に当てはまりました。
低血糖時の対処法
・ブドウ糖10g
・ブドウ糖を含む清涼飲料150~200mL
・砂糖20g
のいずれかを接種し、安静にする。
低血糖に備える
私と妻は、糖尿病初心者ということで、パニックになりかけましたが、たまたま倒れたときに私がいて、手引き書を思い出したからよかったものの、妻がひとりでいる時に、この状況に初めてなってしまっていたらどうなっていただろうと思います。
その為に、いつもブドウ糖10gを身につける事を忘れないようにしました。妻はインスリン注射はしておらず、食事療法段階ですので、食事にも気をつけなければならないでしょう。
そして、相談の結果
『私は、糖尿病患者です。もし、私が倒れていたら、カバンの中のブドウ糖を食べさせて下さい。お願いします』
と書いたメモをカバンの一番取りやすいところにしのばせるようにしました。
今になると思います。通勤中、電車で倒れてしまう人や、ホームで倒れ込んでいた人の事を。
もしかしたら、その人たちの中には「糖尿病」の低血糖症の人がいたかもしれなかったのではないかと。
今度から、わたしはそういう人を見たら、必ず声をかけようと心に誓いました。
「もしかして糖尿病のかたですか」と。
妻の為にカバンにいつもブドウ糖10gをいれてますから。
カミングアウト問題
病名を公表するという事は、どのような病気でも、二の足をふむことでしょう。
心配をかけたくない。迷惑がかかるからだまっていよう等、さまざま理由はありますが、
やっかいな事に、恥ずかしいという病気もあります。
以前の会社で、先輩が内緒で入院して、病院も教えないのでお見舞いにもいけず、病名も何かわからなかったので、重病説が流れたのですが、結局白状した病名はただの『痔』でした。
隠すとないのに、と思いがちですが、本人にとっては耐え難い事ってありますよね。
今となってはわかります。プライドの問題です。
私が、リストラされたことは、なんとなく弟には言えてませんし。そんな事とは笑う気になれません。
「糖尿病」のカミングアウトも同じだと思います。
妻は地元のごく親しい親友には打ち明けていますが、近所のママ友や、バイト先のカフェ、習い事の仲間達に自分が「糖尿病」になってしまった事を打ち明けてはいません。
ママ友とのランチ会でつい同じ物を食べてしまったのも、その事につながります。
自分の親と、私の親にはカミングアウトしましたが、他の親戚達にはまだ内緒にしています。
今年はコロナで集まりませんでしたが、田舎に帰ると、親戚が集まって飲み食いします。
数年前から、急に食べなくなった妻を不思議に思っているかもしれません。
その度に、妻は自分が病気だという事に対して落ちこんでしまいます。
「糖尿病」は身近なまわりの人にはカミングアウトしなければならない病気かもしれません。
低血糖のように、初期の対応さえしっかりしていれば大丈夫な事も、まわりの人が知らなければ、大変な事になってしまうかもしれないからです。
もし、妻のように内緒にするのであれば、紙に書いて忍ばせておくしかないでしょう。
でも、介護の仕事に少しだけ片足をつっこんだことのある私は、身にしみています。
人がプライドを捨てる時、死ぬよりもつらいと。
つづく